楽園の炎
第三十二章
「朱夏お姉ちゃま~」
皇后の部屋で会って以来、ニオベ姫はすっかり朱夏に懐いたようだ。
今日も朱夏を引っ張り出して、ナスル姫のいる小宮に行こうと誘う。
「そうですね。そういえば、憂杏はどうしてるのかしら」
ニオベ姫と回廊を歩きながら、ふと朱夏は思った。
あれ以来、憂杏とナスル姫はどうなったのか。
確かまた憂杏を御前に召す、というようなことを言っていたが、皇太子も夕星も、ここ数日姿を見ていないので、結果がわからない。
「皇太子様はともかく、ユウが来ないなんて。あんなに心配してたわりには、放ったらかしじゃないよ」
ぶつぶつと文句を垂れる朱夏に、横を歩いていたレダが、にやりと笑った。
「あら。やはり朱夏姫様も、夕星様がお側におられないと、不安ですか」
「そ、そういうわけじゃないわよっ」
慌てて否定するが、顔は真っ赤だ。
前を歩いていたニオベ姫が、朱夏の腕にまとわりついて、嬉しそうに笑った。
「うふふ。無理しなくても。そりゃそうよね、お嫁さんを放っておくなんて、おじちゃま最低だわ。あたくしが、きつ~く叱ってあげます」
腕に取り付いたまま、小さな拳を握るニオベ姫に、朱夏は苦笑いをこぼした。
「まぁ、まだ帰国の後処理や留守の間の報告などでお忙しいでしょうから、しばしご辛抱なされませ。きっと夕星様のほうが、朱夏姫様にお会いできなくて、苛々してらっしゃいますわよ」
皇后の部屋で会って以来、ニオベ姫はすっかり朱夏に懐いたようだ。
今日も朱夏を引っ張り出して、ナスル姫のいる小宮に行こうと誘う。
「そうですね。そういえば、憂杏はどうしてるのかしら」
ニオベ姫と回廊を歩きながら、ふと朱夏は思った。
あれ以来、憂杏とナスル姫はどうなったのか。
確かまた憂杏を御前に召す、というようなことを言っていたが、皇太子も夕星も、ここ数日姿を見ていないので、結果がわからない。
「皇太子様はともかく、ユウが来ないなんて。あんなに心配してたわりには、放ったらかしじゃないよ」
ぶつぶつと文句を垂れる朱夏に、横を歩いていたレダが、にやりと笑った。
「あら。やはり朱夏姫様も、夕星様がお側におられないと、不安ですか」
「そ、そういうわけじゃないわよっ」
慌てて否定するが、顔は真っ赤だ。
前を歩いていたニオベ姫が、朱夏の腕にまとわりついて、嬉しそうに笑った。
「うふふ。無理しなくても。そりゃそうよね、お嫁さんを放っておくなんて、おじちゃま最低だわ。あたくしが、きつ~く叱ってあげます」
腕に取り付いたまま、小さな拳を握るニオベ姫に、朱夏は苦笑いをこぼした。
「まぁ、まだ帰国の後処理や留守の間の報告などでお忙しいでしょうから、しばしご辛抱なされませ。きっと夕星様のほうが、朱夏姫様にお会いできなくて、苛々してらっしゃいますわよ」