楽園の炎
「朱夏姫様、どちらへ?」
こそりと庭に出ようとしていた朱夏は、かけられた声に、小さく飛び上がった。
そろそろと振り向けば、セドナが立っている。
「今日も、お衣装係が来ますわよ。さ、こちらへ」
密かに渋い顔をし、朱夏は仕方なく部屋に戻る。
初めのうちこそ、知らないことばかりで聞く話も面白かったが、やはり全く外に出ない生活など、そう続けられるものではない。
しかもここ数日は、衣装係という者たちが毎日のようにやってきては、朱夏のサイズを測ったり、見たこともないような真っ白い布を何枚も広げてみせたりするのだ。
「だって、動くのって、立つか座るか、しかないんだもの。とにかくじっとしとかないといけないしさ。前に服作ってもらったときだって、そんなにいろいろ、させられなかったわよ?」
不満げに言う朱夏に、セドナは、おほほ、と笑い声を上げた。
「まぁまぁ、何を仰いますやら。今はただのお衣装を作っているわけではありませんのよ。お式のためのお衣装なのですから」
「・・・・・・式?」
「結婚式ですよ」
こそっとアルが耳打ちする。
そこで初めて、朱夏は服を作るにしては、やたらと白い布ばかりだなぁ、と思っていた謎が解けた。
こそりと庭に出ようとしていた朱夏は、かけられた声に、小さく飛び上がった。
そろそろと振り向けば、セドナが立っている。
「今日も、お衣装係が来ますわよ。さ、こちらへ」
密かに渋い顔をし、朱夏は仕方なく部屋に戻る。
初めのうちこそ、知らないことばかりで聞く話も面白かったが、やはり全く外に出ない生活など、そう続けられるものではない。
しかもここ数日は、衣装係という者たちが毎日のようにやってきては、朱夏のサイズを測ったり、見たこともないような真っ白い布を何枚も広げてみせたりするのだ。
「だって、動くのって、立つか座るか、しかないんだもの。とにかくじっとしとかないといけないしさ。前に服作ってもらったときだって、そんなにいろいろ、させられなかったわよ?」
不満げに言う朱夏に、セドナは、おほほ、と笑い声を上げた。
「まぁまぁ、何を仰いますやら。今はただのお衣装を作っているわけではありませんのよ。お式のためのお衣装なのですから」
「・・・・・・式?」
「結婚式ですよ」
こそっとアルが耳打ちする。
そこで初めて、朱夏は服を作るにしては、やたらと白い布ばかりだなぁ、と思っていた謎が解けた。