楽園の炎
第三十四章
「・・・・・・ん~・・・・・・痛っ!」
目覚めると共に伸びをし、しかしその途端、朱夏は顔をしかめて丸まった。
その声に、アルが入ってくる。
「お目覚めですか」
「あ、アル。結局昨日は、帰ってこなかったの?」
肩や腕の痛みは、まだ治っていないようだ。
上体を起こし、腫れ上がった手首を撫でながら、朱夏はアルを見上げた。
「ああ、いえ。戻ったんですけど、もう朱夏様はお休みでしたので」
曖昧に笑い、ふうぅ、と大きく息をつく。
朱夏の腕を取り、手首に巻いていた布を取りながら、昨日のことを話す前に、確かめるように傷を見た。
「ああ、こんなに酷いお怪我を。お身体は? 酷い傷は、手首だけですか?」
「えっと。でもあちこちに、小さい傷がついてて。何か、式までに消えないように、わざと傷をつけられた」
「何ですって?」
アルの表情が一変し、ばっと朱夏の衣の前を開く。
「わっ! びっくりするじゃない」
「まあぁぁっ! 痣だらけじゃありませんか! な、何ということを! 折角わたくしが毎晩丹誠込めて磨き上げた珠の肌がっ。わたくしが磨き上げているのは、夕星様のためであって、あのような野蛮なかたのためではありませんのにっ!」
アルの悲鳴に視線を落とせば、昨日は気づかなかったが、身体中にあらゆる痣がついている。
生傷には慣れている朱夏も、さすがに驚いた。
「なっ何これ! 凄い跡じゃない! こ、こんなの、とてもユウには見せられないわ」
「全くです。ただの擦り傷ならともかく、こんな、まさに内出血中心だなんて。許せませんわ。いかにも狙ってやった跡ではありませんか!」
目覚めると共に伸びをし、しかしその途端、朱夏は顔をしかめて丸まった。
その声に、アルが入ってくる。
「お目覚めですか」
「あ、アル。結局昨日は、帰ってこなかったの?」
肩や腕の痛みは、まだ治っていないようだ。
上体を起こし、腫れ上がった手首を撫でながら、朱夏はアルを見上げた。
「ああ、いえ。戻ったんですけど、もう朱夏様はお休みでしたので」
曖昧に笑い、ふうぅ、と大きく息をつく。
朱夏の腕を取り、手首に巻いていた布を取りながら、昨日のことを話す前に、確かめるように傷を見た。
「ああ、こんなに酷いお怪我を。お身体は? 酷い傷は、手首だけですか?」
「えっと。でもあちこちに、小さい傷がついてて。何か、式までに消えないように、わざと傷をつけられた」
「何ですって?」
アルの表情が一変し、ばっと朱夏の衣の前を開く。
「わっ! びっくりするじゃない」
「まあぁぁっ! 痣だらけじゃありませんか! な、何ということを! 折角わたくしが毎晩丹誠込めて磨き上げた珠の肌がっ。わたくしが磨き上げているのは、夕星様のためであって、あのような野蛮なかたのためではありませんのにっ!」
アルの悲鳴に視線を落とせば、昨日は気づかなかったが、身体中にあらゆる痣がついている。
生傷には慣れている朱夏も、さすがに驚いた。
「なっ何これ! 凄い跡じゃない! こ、こんなの、とてもユウには見せられないわ」
「全くです。ただの擦り傷ならともかく、こんな、まさに内出血中心だなんて。許せませんわ。いかにも狙ってやった跡ではありませんか!」