楽園の炎
「ん~・・・・・・でも、そう簡単に反省するような人だったら、とっくに行動を改めてるんじゃない? 昔っからなんでしょ? ああいうの・・・・・・」

朱夏はお茶を飲みながら、落ち着いて答えた。

「それよりも。皇太子様、アリンダ皇子の怪我のこと、何か仰ってた? あたしも、やりすぎたかも」

「そんなことはございません!」

すかさずセドナが口を挟む。
葵は一瞬何のことかわからなかったようだが、すぐに思い当たったらしく、あはは、と笑い声を上げた。

「そうそう、朱夏、アリンダ皇子を殴り飛ばしたんだって? さすがだよねぇ。アリンダ皇子がいまだに部屋で大人しくしてるのは、鼻を折られて顔に貼った布が取れないかららしいよ」

「部屋ったって、一応軟禁されてるんでしょ? 大人しくせざるを得ないんじゃないの?」

鼻を折られていようがなかろうが、軟禁状態なら嫌でも大人しくしているものではないのか。
だがセドナは、風が来るぐらいぶんぶんと、顔の前で手を振る。

「とんでもない。あのかたは、皇子という身分を笠に着て、軟禁などお構いなしに出歩くようなかたですわよ。いくらお部屋の前に兵を置いても、あのかたに恫喝されると、どうしても立場は弱いですからね。意味がないのです」
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