楽園の炎
「朱夏姫様、お久しぶりにございます」
湯殿から部屋に帰ると、そこには東の商人のキャラバンにいた苺鈴(メイリン)が待っていた。
「あれっ苺鈴さん、どうしたの?」
平伏する苺鈴に駆け寄り、朱夏は椅子を勧めた。
「竜(ロン)のキャラバンが、城に入ったようですわね。竜は陛下のところに行ってますけど、苺鈴が是非朱夏姫様にお会いしたいと言うので」
渋い顔で、セドナが言う。
ただでさえ、ここは城でも奥向きだ。
さらに朱夏は、皇子の婚約者なので、本人に自覚がなくても、皇族に連なる者なのだ。
そのような身分の高い姫君の部屋に、一介の商人を通すことを、良く思っていないらしい。
苺鈴も、その辺はわかっているようで、朱夏に頭を下げた。
「図々しくもこのようなところまで押しかけて、申し訳ありません」
「いいのよ。あ、そうそう。簪と耳飾り、ありがとうね。まだなかなかする機会がないんだけどね。凄く気に入ってる」
屈託なく言い、朱夏はアルにお茶を頼んだ。
とんでもない、と苺鈴が断ろうとするが、アルも慣れたもので、さっさと二人分のお茶を用意する。
「明日にでも、皆様に新しい商品をお見せできると思います。その前に、朱夏姫様にはこれを」
そう言って、苺鈴は一通の書状を差し出した。
湯殿から部屋に帰ると、そこには東の商人のキャラバンにいた苺鈴(メイリン)が待っていた。
「あれっ苺鈴さん、どうしたの?」
平伏する苺鈴に駆け寄り、朱夏は椅子を勧めた。
「竜(ロン)のキャラバンが、城に入ったようですわね。竜は陛下のところに行ってますけど、苺鈴が是非朱夏姫様にお会いしたいと言うので」
渋い顔で、セドナが言う。
ただでさえ、ここは城でも奥向きだ。
さらに朱夏は、皇子の婚約者なので、本人に自覚がなくても、皇族に連なる者なのだ。
そのような身分の高い姫君の部屋に、一介の商人を通すことを、良く思っていないらしい。
苺鈴も、その辺はわかっているようで、朱夏に頭を下げた。
「図々しくもこのようなところまで押しかけて、申し訳ありません」
「いいのよ。あ、そうそう。簪と耳飾り、ありがとうね。まだなかなかする機会がないんだけどね。凄く気に入ってる」
屈託なく言い、朱夏はアルにお茶を頼んだ。
とんでもない、と苺鈴が断ろうとするが、アルも慣れたもので、さっさと二人分のお茶を用意する。
「明日にでも、皆様に新しい商品をお見せできると思います。その前に、朱夏姫様にはこれを」
そう言って、苺鈴は一通の書状を差し出した。