楽園の炎
国外宛の書状など、どうやって出すのかわからない。
信頼できない者には託せないので、持ってきてくれた人物に、また持って行ってもらうのが一番だ。
だが、書状を運ぶのが仕事ではない苺鈴は、またすぐにアルファルドに行くことはないだろう。
どうしようか、と思っていると、苺鈴が、ちょっと心配そうな顔をした。
「あの、何か急を要するお手紙だったのですか?」
「あ、ううん。そういうわけでもないんだけどね。ただ、持ってきてくれた人に渡すほうが、安心だし」
がさごそと手紙をたたみ、誤魔化すように、朱夏は、あはは、と笑った。
控えていたセドナが、それでしたら、と口を挟む。
「皇家直属の飛脚がおりますよ。兵士の中に、飛脚部隊がおります。戦のときに伝令などを迅速に届けるので、馬の扱いの巧みな者ですよ。普段は皇帝陛下の書状などを、各国に運んでおります」
さすが、外交も盛んな大帝国だけある。
支配する土地も広範囲に渡っているし、確かに飛脚部隊は必要だろう。
しかし朱夏は、ひええっと小さく声を上げた。
「そ、そんな、皇帝陛下の書状だなんて大事なもの運ぶ人たちに、ただのお手紙を頼むなんて、恐れ多いわ」
早く届けたいのはやまやまだが、朱夏的に早くしたいだけであって、特に重要なものでもないし、単なる親子の交流のために、れっきとした外交文書を届ける者を使うだなんて。
信頼できない者には託せないので、持ってきてくれた人物に、また持って行ってもらうのが一番だ。
だが、書状を運ぶのが仕事ではない苺鈴は、またすぐにアルファルドに行くことはないだろう。
どうしようか、と思っていると、苺鈴が、ちょっと心配そうな顔をした。
「あの、何か急を要するお手紙だったのですか?」
「あ、ううん。そういうわけでもないんだけどね。ただ、持ってきてくれた人に渡すほうが、安心だし」
がさごそと手紙をたたみ、誤魔化すように、朱夏は、あはは、と笑った。
控えていたセドナが、それでしたら、と口を挟む。
「皇家直属の飛脚がおりますよ。兵士の中に、飛脚部隊がおります。戦のときに伝令などを迅速に届けるので、馬の扱いの巧みな者ですよ。普段は皇帝陛下の書状などを、各国に運んでおります」
さすが、外交も盛んな大帝国だけある。
支配する土地も広範囲に渡っているし、確かに飛脚部隊は必要だろう。
しかし朱夏は、ひええっと小さく声を上げた。
「そ、そんな、皇帝陛下の書状だなんて大事なもの運ぶ人たちに、ただのお手紙を頼むなんて、恐れ多いわ」
早く届けたいのはやまやまだが、朱夏的に早くしたいだけであって、特に重要なものでもないし、単なる親子の交流のために、れっきとした外交文書を届ける者を使うだなんて。