楽園の炎
「ねぇ、そんな誓い立てたら、側室持った瞬間に殺されるじゃない。何で皇帝陛下には、二人もご側室がいたの?」
朱夏の疑問に、セドナが笑い声を上げた。
「ほほほ。大丈夫ですよ。夫に誓いを立ててもらえるのは、御正室だけ。宝剣を贈られ、正式に誓いを立ててもらえるのは、御正室様だけなのですよ。そもそも宝剣は、皇子様・皇女様に、各一本ずつしかありませんしね。ご側室がおられても、愛情は御正室様にあれば、何も問題はありません」
「・・・・・・あたしはヤだわ」
呟いてみたものの、朱夏だって一応王家というものの近くで育った人間である。
跡継ぎの問題がある皇家の皇子を、一人の女が独占できるものでもない、ということは、頭の片隅ではわかっている。
が、それを容認できるほど、朱夏はまだ大人ではないし、経験もない。
夕星がいくら優しくても、もし他に側室を迎えたら・・・・・・。
「大丈夫ですよ。夕星様は、そんな気が多いかたではありません。むしろ、ご自分で花嫁を選ぶことも、ないかと思ってましたのに。何事にも冷めてらしたから」
「でも、あたしに跡継ぎができなかったりしたら・・・・・・」
「夕星様は、第三皇子です。皇太子殿下には、すでにニオベ様がおられますし、皇帝の座に就く気など、夕星様ご本人にもありません。跡継ぎができなくても、特に困ることはありますまい。現に、皇帝陛下の弟君には、お子はいらっしゃいませんが、正妃様お一人ですよ」
ああ、そっか、と、朱夏はククルカンに入る前に会ったコアトル知事を思い出した。
そういえば、夕星も自分で『朱夏以外の妃を迎える気はない』と言っていたではないか。
朱夏の疑問に、セドナが笑い声を上げた。
「ほほほ。大丈夫ですよ。夫に誓いを立ててもらえるのは、御正室だけ。宝剣を贈られ、正式に誓いを立ててもらえるのは、御正室様だけなのですよ。そもそも宝剣は、皇子様・皇女様に、各一本ずつしかありませんしね。ご側室がおられても、愛情は御正室様にあれば、何も問題はありません」
「・・・・・・あたしはヤだわ」
呟いてみたものの、朱夏だって一応王家というものの近くで育った人間である。
跡継ぎの問題がある皇家の皇子を、一人の女が独占できるものでもない、ということは、頭の片隅ではわかっている。
が、それを容認できるほど、朱夏はまだ大人ではないし、経験もない。
夕星がいくら優しくても、もし他に側室を迎えたら・・・・・・。
「大丈夫ですよ。夕星様は、そんな気が多いかたではありません。むしろ、ご自分で花嫁を選ぶことも、ないかと思ってましたのに。何事にも冷めてらしたから」
「でも、あたしに跡継ぎができなかったりしたら・・・・・・」
「夕星様は、第三皇子です。皇太子殿下には、すでにニオベ様がおられますし、皇帝の座に就く気など、夕星様ご本人にもありません。跡継ぎができなくても、特に困ることはありますまい。現に、皇帝陛下の弟君には、お子はいらっしゃいませんが、正妃様お一人ですよ」
ああ、そっか、と、朱夏はククルカンに入る前に会ったコアトル知事を思い出した。
そういえば、夕星も自分で『朱夏以外の妃を迎える気はない』と言っていたではないか。