楽園の炎
「そういう破滅的な考えって、アリンダ皇子と似てるよね・・・・・・」
ぽつりと呟いて、朱夏はアリンダが幽閉されているという建物のほうを見た。
「朱夏姫様は、少しお優しすぎるような気がしますな」
ネイトが真顔になって、朱夏を見た。
厳しいとも思える表情に、朱夏は少し怯む。
「罰するときは厳しくしないと、後々厄介ですよ。悪の芽は根こそぎ刈り取るつもりでいないと、後に手痛いしっぺ返しを受けることもあります。あの五人が処刑になったのも、情をかけて生かしておいたら、またぞろろくでもない復讐をするからです。己の保身のためだけに、家族まで犠牲にするような輩にかけてやる温情など、ありませぬよ」
「それは・・・・・・」
アリンダも死罪になる、ということだろうか。
ネイトの言うとおり、被害者である朱夏がアリンダの身を案ずる必要などないのだろう。
わかっているし、朱夏もアリンダを心配しているつもりはない。
ただ、どうしても『死罪』ということに抵抗があるのだ。
そこがネイトの言う、朱夏の甘いところなのだろうが。
朱夏は口をつぐみ、唇を噛んだ。
「ま、朱夏姫様はもう、何も気に病むことはありませぬ。兵士らのことにしても、アリンダ様が活躍されるのは戦場だけ。もうそんな大きな戦はありませんので、彼がいなくなっても、さほど困りませぬ。先にも言いましたように、代わりはいくらでもおりますし。次に戦が起こる頃には、また優秀な人材が育っております。近衛隊以外の兵も、アリンダ様よりも夕星様を慕っておりますれば、今後も何の問題もありません」
だからアリンダ様のことはお忘れなさい、と、ネイトは笑う。
朱夏も、曖昧に微笑んだ。
ぽつりと呟いて、朱夏はアリンダが幽閉されているという建物のほうを見た。
「朱夏姫様は、少しお優しすぎるような気がしますな」
ネイトが真顔になって、朱夏を見た。
厳しいとも思える表情に、朱夏は少し怯む。
「罰するときは厳しくしないと、後々厄介ですよ。悪の芽は根こそぎ刈り取るつもりでいないと、後に手痛いしっぺ返しを受けることもあります。あの五人が処刑になったのも、情をかけて生かしておいたら、またぞろろくでもない復讐をするからです。己の保身のためだけに、家族まで犠牲にするような輩にかけてやる温情など、ありませぬよ」
「それは・・・・・・」
アリンダも死罪になる、ということだろうか。
ネイトの言うとおり、被害者である朱夏がアリンダの身を案ずる必要などないのだろう。
わかっているし、朱夏もアリンダを心配しているつもりはない。
ただ、どうしても『死罪』ということに抵抗があるのだ。
そこがネイトの言う、朱夏の甘いところなのだろうが。
朱夏は口をつぐみ、唇を噛んだ。
「ま、朱夏姫様はもう、何も気に病むことはありませぬ。兵士らのことにしても、アリンダ様が活躍されるのは戦場だけ。もうそんな大きな戦はありませんので、彼がいなくなっても、さほど困りませぬ。先にも言いましたように、代わりはいくらでもおりますし。次に戦が起こる頃には、また優秀な人材が育っております。近衛隊以外の兵も、アリンダ様よりも夕星様を慕っておりますれば、今後も何の問題もありません」
だからアリンダ様のことはお忘れなさい、と、ネイトは笑う。
朱夏も、曖昧に微笑んだ。