楽園の炎
石段を上がると、だだっ広い広間のようなところに出た。
夕星が言ったとおり、不思議に明るい。
だがかろうじて周りが見える程度だ。
夕星は、祭壇にあった小さな燭台に灯を入れた。
暖かな小さい灯りが、慎ましやかに神殿内を灯す。
「わ・・・・・・凄い」
神殿はアルファルドにもあったが、この神殿よりも随分小さいし、内部などほとんど祭壇だけの、簡単なものだった。
ククルカンの神殿は、祭壇の後ろの壁に、大きな神のレリーフが刻まれている。
正面からは真っ直ぐに、祭壇に向かって大理石の回廊が伸びていた。
「当日は、この両端に重臣らがずらっと並ぶんだ。父上は祭司として、神官と一緒に実際に式を執り行う。炎駒殿や桂枝殿は、一番上座だな」
あの辺り、と祭壇のすぐ横を指す。
「俺たちは、重臣らの真ん中辺りから出て、この回廊に入って、真っ直ぐに祭壇に向かう。で、祭壇前で、一連の式を執り行うわけだ」
今この場で聞いているだけでは、特に緊張もしないが、当日は両端に、びっしりと家臣が居並ぶ中を進むのだ。
想像すると、目眩がする。
「ああ・・・・・・そ、そうだ。ユウ、あの、その儀式ってさ・・・・・・。あのぅ、とても頭に入らないんだけど・・・・・・。ユウは、完璧なの?」
おずおずと言ってみる。
ん? と振り向き、夕星は朱夏の期待とは裏腹に、軽く頷いた。
「そりゃあ、俺はれっきとした皇子だぜ。皇家の儀式は、一通り覚えてるさ」
夕星が言ったとおり、不思議に明るい。
だがかろうじて周りが見える程度だ。
夕星は、祭壇にあった小さな燭台に灯を入れた。
暖かな小さい灯りが、慎ましやかに神殿内を灯す。
「わ・・・・・・凄い」
神殿はアルファルドにもあったが、この神殿よりも随分小さいし、内部などほとんど祭壇だけの、簡単なものだった。
ククルカンの神殿は、祭壇の後ろの壁に、大きな神のレリーフが刻まれている。
正面からは真っ直ぐに、祭壇に向かって大理石の回廊が伸びていた。
「当日は、この両端に重臣らがずらっと並ぶんだ。父上は祭司として、神官と一緒に実際に式を執り行う。炎駒殿や桂枝殿は、一番上座だな」
あの辺り、と祭壇のすぐ横を指す。
「俺たちは、重臣らの真ん中辺りから出て、この回廊に入って、真っ直ぐに祭壇に向かう。で、祭壇前で、一連の式を執り行うわけだ」
今この場で聞いているだけでは、特に緊張もしないが、当日は両端に、びっしりと家臣が居並ぶ中を進むのだ。
想像すると、目眩がする。
「ああ・・・・・・そ、そうだ。ユウ、あの、その儀式ってさ・・・・・・。あのぅ、とても頭に入らないんだけど・・・・・・。ユウは、完璧なの?」
おずおずと言ってみる。
ん? と振り向き、夕星は朱夏の期待とは裏腹に、軽く頷いた。
「そりゃあ、俺はれっきとした皇子だぜ。皇家の儀式は、一通り覚えてるさ」