楽園の炎
「？？　ウラカンの力が具現化？」

何のことやら、さっぱりわからない。

「ウラカンは、僻地だって言ったろ。滅びの土地なのさ。滅びの力が強いが故に、人々が住めない。その、滅びの力の具現化したのが、塔守さ」

ふぅん、と納得し、だが次の瞬間には、朱夏は、ええっと驚いた。

「そ、そんなの、危ないんじゃないの？　大丈夫なの、そんなところに送っちゃって」

慌てて言う朱夏に、夕星は怪訝な顔をする。

「危ない？　何言ってるんだ。俺の手で処刑したいところを、塔流しで済ませてやるんだ。感謝して欲しいぐらいだぜ」

「だって、滅びの神の元に送るってことでしょ？　処刑と同じじゃないの？」

処刑のように具体的でないだけに、返って怖い。
朱夏は自分が被害者だということも忘れて、夕星に詰め寄った。

「残念ながら、処刑よりは甘いぜ。滅びの神だといっても、送られてきた罪人を即滅ぼすような神様じゃないからな。まぁ、妙なことを企めば、たちまち塔守の逆鱗に触れるだろうが。大人しく生涯を塔の中で過ごせば、直接な害はない」

生涯幽閉ということだ。
それはそれで、きつい罰だろう。

「すでに塔守より、迎えが来ております。護送の間に暴れられたら厄介ですからね。処罰が決まってすぐに、奴は塔守の力で縛られております」

「･･････出立は、いつ？」

静かに問う炎駒に、夕星は少し黙り込んだ。
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