楽園の炎
第三十八章
城を出ると、近衛隊が、ざっと並んでいた。

「夕星様! おめでとうございます!」

「朱夏姫様! おめでとうございます!」

口々に祝いの言葉を述べ、皆が拳を胸に当てて、頭を下げる。

「あ、ありがとうございます」

あまりの迫力に気圧され、朱夏は夕星にしがみつきながら言った。
その姿に、ネイトが笑いながら少し先を示す。

「おやおや。そういえば朱夏姫様、そんな格好で大丈夫ですか? 夕星様、車で行くのでしょう?」

「くっ車?!」

驚いてネイトの示すほうを見てみれば、確かに二頭引きの車が止まっている。
馬車というより、戦車といったほうが正しい。
馬が引く台座の上に、立って乗るのだ。

「無理無理! いつもの格好でも、あたし、ああいう乗り物は苦手なのに。こんなドレス着てなんて、絶対無理っ!」

ぶんぶんと首を振る。
夕星は少し考えて、そうかもね、と呟いた。

「とりあえず、神殿までは頑張れよ。式の後のパレードは、他の方法を考えるから」

「パレード?」
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