楽園の炎
至近距離で言う夕星の、見る者を凍り付かせるような瞳に、アリンダは思わずごくりと喉を鳴らした。

投げ出すように手を離し、夕星は、さっと立ち上がって脇に避ける。
やっと皇帝陛下が、我に返ったように、ごほん、と咳払いした。

「お前は今まで、私の息子という立場を利用し、良いように振る舞ってきた。少々度が過ぎたな。すでにお前も聞き及んでいよう。お前は、最早私の息子ではない」

夕星の迫力に茫然と震えていたアリンダが、驚いたように皇帝陛下に目を向ける。
ウラカンの塔守の力で縛られたことにより、ウラカン送りになることはわかろうに、まだどこか楽観的に見ていたようだ。

「ち、父上・・・・・・」

「父と言うな。お前は最早、皇族ではない。今までその手にかけてきた者たちの恨みを知るが良い。どれだけの娘が、お前のために命を落としたと思っているのだ。無体に乱暴を働き、挙げ句その一族をも手にかけるような者を、最早皇子として扱うわけにはいかぬ」

アリンダが暴行を働いたのは、何も夕星絡みの女子だけではない。
戦のときはもちろんだが、それ以外でも、気まぐれに目についた者を犯し、刃向かう者がいれば、容赦なく斬り捨てる。

それが幼い子供であってもだ。
そういうことが、日常茶飯事だったのだ。
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