楽園の炎
「・・・・・・ふん。あのような野蛮な娘を妃に迎えるほうが、皇家の者としての自覚がないのではないか?」
忌々しそうに言うアリンダに、皇帝も皇太子も眉を顰め、アシェンはあからさまに顔色を変えた。
アルの主である朱夏を侮辱されたことに、怒りを覚えたのだろう。
「失礼ながら、あなた様が人様のことを野蛮だというなど、笑止千万ですな」
いつものお堅いアシェンには珍しく、アリンダに向かって憎まれ口を叩く。
おや、というように、皇太子がアシェンを見たが、咎めることはしない。
臣下に侮辱されて、アリンダの顔はみるみる真っ赤になる。
「お前! 失礼ではないか! 身分をわきまえろ!!」
叫びながら立ち上がったアリンダは、アシェンに掴みかかろうとする。
が、動く前に夕星が伸ばした手が、アリンダの口を掴むように押さえ込んだ。
片手で押さえられているだけだが、指が左右から容赦なく両頬に食い込んでいる。
あまりの激痛に、アリンダは顔をしかめた。
「お前こそ、身分をわきまえろ。わかってないようだが、お前など、すでに臣下の最下位だ。いや、それ以下かもな」
静かに言う夕星に、アリンダは目だけを動かした。
ぎり、と奥歯を噛みしめる。
「これ以上、俺の妻である朱夏を貶めるようなことを言えば、このままお前の顔を砕いてやる」
ぐっとアリンダの顔の下半分を掴む手に力を入れる。
みし、と頬骨が軋み、アリンダの額を、汗が一筋流れた。
しばらくそのままアリンダの顔に指を食い込ませていた夕星は、やがて静かに手を離した。
そして、神官の前に据えられたアリンダの宝剣の前に跪く。
忌々しそうに言うアリンダに、皇帝も皇太子も眉を顰め、アシェンはあからさまに顔色を変えた。
アルの主である朱夏を侮辱されたことに、怒りを覚えたのだろう。
「失礼ながら、あなた様が人様のことを野蛮だというなど、笑止千万ですな」
いつものお堅いアシェンには珍しく、アリンダに向かって憎まれ口を叩く。
おや、というように、皇太子がアシェンを見たが、咎めることはしない。
臣下に侮辱されて、アリンダの顔はみるみる真っ赤になる。
「お前! 失礼ではないか! 身分をわきまえろ!!」
叫びながら立ち上がったアリンダは、アシェンに掴みかかろうとする。
が、動く前に夕星が伸ばした手が、アリンダの口を掴むように押さえ込んだ。
片手で押さえられているだけだが、指が左右から容赦なく両頬に食い込んでいる。
あまりの激痛に、アリンダは顔をしかめた。
「お前こそ、身分をわきまえろ。わかってないようだが、お前など、すでに臣下の最下位だ。いや、それ以下かもな」
静かに言う夕星に、アリンダは目だけを動かした。
ぎり、と奥歯を噛みしめる。
「これ以上、俺の妻である朱夏を貶めるようなことを言えば、このままお前の顔を砕いてやる」
ぐっとアリンダの顔の下半分を掴む手に力を入れる。
みし、と頬骨が軋み、アリンダの額を、汗が一筋流れた。
しばらくそのままアリンダの顔に指を食い込ませていた夕星は、やがて静かに手を離した。
そして、神官の前に据えられたアリンダの宝剣の前に跪く。