溺愛彼氏6:4
紗枝の手は迷うことなく私の髪の毛を編みこんでいく。
私は編みこまれた毛を触りたくて手をのばす。
「ほら!首まっすぐして!」
怒られた…。
なにもすることがなくて、ぼーっと編まれるのを待っていた。
「できた」
紗枝の声とともに差し出された鏡。折り畳まれた鏡のふたを開け、鏡を覗き込む。
「うわぁ」
綺麗に編みこまれた髪の毛。カチューシャのように編みこまれている。編みこみの終わりの耳の後ろ辺りには小さなリボンが付けられていた。
「結菜、可愛い!」
「紗枝ありがとう!紗枝うますぎだよ!」
「さ、早く悠紀くんに見せなきゃね」
悠紀くんに可愛い、て言ってもらいたいな。可愛いまではいかなくても、今日なんだか雰囲気違うね、て。
「あれ、北沖。
頭すごいことになってんぞ」
食堂から帰ってきた羽柴が声をかけてきた。
「あ羽柴。結菜可愛いでしょ?!」
「これ、北沖がやったんじゃないだろ?」