溺愛彼氏6:4
「北沖、どっか寄ってく?」
靴を履き変えながら羽柴は尋ねてくる。
「んー。アイス食べたいかも」
「じゃあ寄ってくか」
羽柴は笑いながら私の手を引いた。
「…手、繋ぐのはちょっと…」
羽柴は、少し苦しそうな切なそうな顔を見せて、私から手を離した。
「…ごめん」
先に謝ったのは羽柴だった。
羽柴と手を繋ぐのが嫌なわけじゃない。
けど、悠紀くんと違うその手を比べてしまって…
羽柴と繋ぐ気にはなれなかった。
私は今だに悠紀くんが好きだから。
「アイス行くぞ!」
いつもの笑顔で羽柴はまた笑いかけてくれた。
私がこれ以上気にしないように。羽柴なりに気を使ってくれたんだ。
…ありがとう、羽柴。
ごめんね。