溺愛彼氏6:4
羽柴の優しさに素直にお礼が言えない私はなんて嫌なやつなんだろう。
泣きたい気持ちを抑えるように私は黙って俯いた。
「北沖、今日は送らせて?」
羽柴は手首から手へと掴むところを変えて、私と手を繋いだ。
半歩前を歩く羽柴の後ろ姿を黙っておいかける。
家までの道のりがやけに短く感じれた。
それはきっと、羽柴のせい。
羽柴といると苦しくなる。
「北沖の家ってこの辺であってるか?」
不意に声をかけられ、驚くと羽柴は苦笑いしている。
「俺、北沖の家だいたいでしかわからないからさ…」
「ここでいいよ」
私は繋いでいた手をゆっくりと離しすと、羽柴の顔をみて笑いかけた。
「羽柴、今日はごめんね」
出てきた言葉は謝罪の言葉だったけど。