溺愛彼氏6:4
「あ、噂をすればなんとやら」
紗枝は楽しそうに私のほうを見ている。
「あー羽柴が来たってことね」
羽柴は購買でパンを買ってきたようで、たくさんのパンを手に抱えたまま教室に戻ってきていた。
紗枝は交互に羽柴と私を見てにやにやしている。
「結菜は今日も羽柴と帰るのかい?」
「まぁそうだね」
「くー!うらやましい!」
紗枝が大袈裟に叫ぶから羽柴は私のほうをちらりと見て笑っていた。
そんな羽柴と不意に目が合ったから何だか気まずいような、むずがゆいような変な感じ。
私は羽柴に笑いかけることなく、パッと目を逸らしてしまった。