溺愛彼氏6:4


「じゃあね、美那」

「ありがと、悠紀!」

悠紀くんのお家の前で、私よりも背の低い女の子と悠紀くんが一緒にいた。

見たくないものを見た、そんな気がしてそこから目をそらした。
心はひどく痛んだ。

…新しい彼女だ。

ちがう、ちがう、違う!!
ただの友達だよ、きっと。
それか、もしかしたら親戚の女の子かも。

頭で考えることと、直感で感じたことが食い違って苦しくなる。


どうして、こんなとき羽柴はいないんだろう。羽柴がいたらきっと手を強く握って笑い飛ばしてくれるのに。

ここにきて、まだ羽柴を利用しようとしている自分が本当に嫌いだ。


辛いのに羽柴は笑ってた。
…羽柴は待ってるって言ってくれた。

だから、私と目をそらしたら駄目だ。
向き合わなければ。

利用しようする自分に嫌気がさすのと同時に、羽柴みたいに逃げずに向き合いたいという気持ちにもさせられた。


私は再び悠紀くんたちを見る。
二人は抱き合っているようだった。
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