丁寧な言葉にご注意を。
「‥動機は、妹さんとの事で?」
うざみんが聞く。
中臣はしまっていた眼鏡をまた掛け直した。
「…そう、けど、それだけじゃない!!」
ダンッ
床を叩く。
コツ、
「ーーーっ!」
中臣が、うずくまる彼女の横を通り過ぎて資料室から出て行く。
あたしは数秒迷ったが、中臣を追う事にした。
「…中臣!」
階段を駆け降りて、中臣を呼ぶが中臣は構わず進む。
「……中臣!!」
図書館を出てみればもう既に外は夕暮れで、
手を取って、
やっと中臣は歩みを止めた。
「…なんです?」
振り向いて、少しだけ微笑む中臣
「‥動機、聞かないの?彼女がなんで遠藤さんを殺したのか、アンタは気になんないの?」
「あまり興味ありませんねぇ。人が人を殺す動機なんて、知りたいとも思えませんよ。」
「…推理して、トリックが暴けて、犯人がわかればアンタはもう、いいの?」
中臣の顔が見れない。
「推理が当たって何よりです。外れていたら僕は権利侵害で訴えられちゃいますね。」
冗談まじりの声。
推理は当たっていたのに、今の中臣の言葉からは何も真実なんて見えやしない。