うさミミ!~兄と王子と幼なじみと~「ヲタは××できないなんて、言わせないんだから!」(仮)



雪くんがあたしを見る。


顔が熱くなる。


雪くんの顔が、見れない。




「それは……和泉君が?」



……それも否定できない。もう逃げられない。


けど、この気持ちも本当なの。




「雪くんが、好き」



そこで初めて顔を上げて雪くんを見た。



「そんな目で見られても……」


ねえ、今少し赤くなった?


炎のせいかもしれないけど。




今視線を落としたら、たぶんもう顔を上げられない。



雪くんを見つめてたら、


ゆっくり近づいてきて、


それからぎゅっと、いや、ふわって、抱きしめられた。










あたし、おかしい。





雪くんが、好き…………なハズなのに。





嬉しい、と思うハズなのに。








……………………違う。








でも、どうしようもなくて。




好きって言ったのに、今拒んだりしたら、嫌われるかもしれない。




嫌われたくない。






雪くんはあたしを放して、



「佐々木さん……なんで泣いてるの」



…………え?あたし泣いてる?


「わかんない」



「……佐々木さんはわかりやすいよね」



「え?」



「佐々木さんには和泉くんの方が良い」




なんで今雪くんがそんなこと言うの……?




「なんで……?だって咲ってさぁ……いつも部屋入ってくるし、風呂覗くし、デリカシー無いし、バカだし、アホだし、エロ咲だし、良いとこなんてひとつも……」




言いながらわかった。やっぱりね、




「ごめんね。あたし…………本当は咲が好き。でもね、雪くんも、好きなの」



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