うさミミ!~兄と王子と幼なじみと~「ヲタは××できないなんて、言わせないんだから!」(仮)



「佐々木さん、たぶん僕への好きは、和泉くんへの気持ちとはちょっと違うよ」


雪くんは優しく笑った。



「僕への好きは、どうしたってあの人には勝てない」



雪くんの視線は、窓の外……――の、咲だった。



「雪くん、いつからわかってたの?」


「ん?もうずっと前から。」


「そうだったの……」





「僕も好きだよ、佐々木さん」




え……………………?



声が出ない。




「でもこれも、和泉くんが佐々木さんを思う気持ちには、負けるんだろうけど」




もう、なんて言ったらいいの。





「それでも、佐々木さんのこと普通に好きだし……友達として、でいいから、これからも仲良くしてよ」



……ずるい。



「う、う、うわぁぁあん」(泣)


「泣かないでよ、僕が泣かしたみたいじゃん」


「そうだよ!!」←


「あはは」


「あははって!」




雪くんとの、この感じ。悪くないよね。



大切にしよう、あたしの数少ない友達……。←





「ほら、行ってあげなよ」



そう言ってまた窓の外を見た雪くん。


炎に照らされた赤い顔の咲は、周りをキョロキョロしながら歩いてて…………




ねえ、あたしを探してるの?




…………咲、会いたい。触れたい。



今までずっと、いつだって一緒にいたけど、なんか今、無性に会いたい。




「咲のとこ、行ってくる」


涙を拭いて、雪くんを見ると、

「うん」


と、あたしに笑顔を向けた。


その顔が、好きでした。


「雪くん、これからも、メールとかしていいかな?……友達として」


「…いいんじゃない?」


それを聞いてまた泣きそうになるあたしを、ほらほらと図書室の外まで背中を押して、


「がんばれ」


少し寂しそうに笑って、手を振ってくれた。



< 104 / 112 >

この作品をシェア

pagetop