うさミミ!~兄と王子と幼なじみと~「ヲタは××できないなんて、言わせないんだから!」(仮)
「佐々木さん、たぶん僕への好きは、和泉くんへの気持ちとはちょっと違うよ」
雪くんは優しく笑った。
「僕への好きは、どうしたってあの人には勝てない」
雪くんの視線は、窓の外……――の、咲だった。
「雪くん、いつからわかってたの?」
「ん?もうずっと前から。」
「そうだったの……」
「僕も好きだよ、佐々木さん」
え……………………?
声が出ない。
「でもこれも、和泉くんが佐々木さんを思う気持ちには、負けるんだろうけど」
もう、なんて言ったらいいの。
「それでも、佐々木さんのこと普通に好きだし……友達として、でいいから、これからも仲良くしてよ」
……ずるい。
「う、う、うわぁぁあん」(泣)
「泣かないでよ、僕が泣かしたみたいじゃん」
「そうだよ!!」←
「あはは」
「あははって!」
雪くんとの、この感じ。悪くないよね。
大切にしよう、あたしの数少ない友達……。←
「ほら、行ってあげなよ」
そう言ってまた窓の外を見た雪くん。
炎に照らされた赤い顔の咲は、周りをキョロキョロしながら歩いてて…………
ねえ、あたしを探してるの?
…………咲、会いたい。触れたい。
今までずっと、いつだって一緒にいたけど、なんか今、無性に会いたい。
「咲のとこ、行ってくる」
涙を拭いて、雪くんを見ると、
「うん」
と、あたしに笑顔を向けた。
その顔が、好きでした。
「雪くん、これからも、メールとかしていいかな?……友達として」
「…いいんじゃない?」
それを聞いてまた泣きそうになるあたしを、ほらほらと図書室の外まで背中を押して、
「がんばれ」
少し寂しそうに笑って、手を振ってくれた。