だってキミが可愛すぎて
彼の顔がゆっくり近付いてくる。
鼻先数センチまで彼の顔が迫ってきた時、そこでようやく気付いた。
キス、される……?
そう気付いてからは案外早くて、私はサッと両手で彼の顔を包んだ。
「……なん?」
閉じていた瞳をゆっくり開いて、キョトンとした彼の顔をそっと押し離す。
「いや」
そう言ってゆっくり両手を離せば、彼はふっと小さく笑う。
「ええやんか」
壁に手をついたまま、私の顔を覗き込むように顔を近付けてくる。
口角をきゅっと上げて、ジリジリ迫ってくる彼に、を思わずゴクリと唾を呑み込んだ。
「もう、他の男とヤッてもうてんねやろ?」
口調はいつも通り。
でも、いつもより低い声だった。
そんな些細な変化にさえ、身体はゾクリと反応してしまう。
「1人とヤッたら、2人とヤるんも10人とヤるんも同じようなもんやろ?
せやから今更ボクに汚されても、なーんも問題あらへんやないの」
「なに……言って……」
「そう思わへん?
だって1人目に抱かれた時点でキミのカラダ、もう汚れてもうてんねやから」