だってキミが可愛すぎて
 
頭で考えるより先に身体が動いていた。


彼の抜けるような白い頬に、うっすらと赤く浮かび上がる手の形。


じんじんと痛む手。


でも手より胸の奥の方が、なぜかずっと痛かった。


「最低」


喉の奥から精一杯絞り出した言葉。


そんな私のかすれた罵声を聞いても、彼は口元に笑みを浮かべたまま。


ねぇ、馬鹿にしてるの?


「……そういうところが嫌いなの」


「ん?

今の聞こえへんかった。

なんて?」


「……嫌い」


……こんな男、大嫌い。


「私は……本当に好きな人としか……そういうこと、しない」


なぜか泣きそうになる。


目の縁に溜まった涙がこぼれ落ちないように、ぐっと目に力を入れて彼を見上げる。



 

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