だってキミが可愛すぎて
長いこと会うてなかったせいか、キミへの愛しさが急激にこみ上げる。
つくづく勝手な男やなァ、ボクは。
近くにおると突き放してみたくなるのに、いざ突き放してみると、会いたくて会いたくてたまらなくなんねん。
「早く出てって、着替えるから」
ちょっと早口やな。
キミが早口なるんは、焦ってる証拠。
もっともっと困らせたなる。
大体、そんなん言われてボクが素直に出てくわけないことくらい、キミが一番よお知ってるんとちゃうの?
「部屋に火つけてでも追い出すよッ!」
昔っから気ィ強いところは変わらへんねやね。
5つも年下のくせに、ぜーんぜんボクのこと年上やと思っとらへん。
それ以前に、天下の齋藤スズに刃向かってくる女の子なんて、キミくらいやで。
ほんまに困った子ォや。
まぁ……困った子ォほど可愛いんやけどね。
「いいから出てって!」
それにしても……そない耳まで真っ赤にして必死に叫ばれたら、むしろ逆効果やってこと、この子は気付かへんねやろか。