だってキミが可愛すぎて
 
なんで抵抗出来ないんだろう。


頭の中はめちゃくちゃに混乱しているのに、身体の方に全く反映されない。


彼が壁に手をつく。


壁と腕の間に挟まれた私は、黙って目の前の鎖骨を見ていた。


なんで抵抗しないの、私。


ああ、もしかして慣れたから、なのかな?


彼が奇怪な行動をとるのはいつものことで、昔は彼の行動に頭を悩ませることは多々あったけど、最近ではそれも慣れたのかもしれない。


私より5つも年上のくせに、まるで小さい子供みたいな振る舞いをする時もあれば、急に大人の匂いを薫らせる時もある。


そう、まさに今みたいに。


だから、いちいち過敏に反応してたら、きっと身が保たない。


……きっと今も、どうせからかってるんだ。


私が真っ赤になって慌てるのを期待して、楽しんでるんだ、きっと。


本当に嫌な男。


思い通りになんてならない。


なってやらない。


絶対に。


「なんで抵抗せぇへんの?

いつもみたいに暴れられるくらいが好みやねんけどボク……」




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