だってキミが可愛すぎて
 
ぽろ、彼女の目から一粒の大きな涙がこぼれ落ちた。



「言うて?

好き、って」



ちゃんと聞かせて。


今までぎょうさん言われた“嫌い”を忘れてまうような、極上の“好き”が欲しい。


その可愛らしい表情で、その可愛らしい声で言うて欲しい。


もっともっと、ボクを夢中にさせて欲しい。


「……」

「……なんで言わへんの」


口を紡いだまま、悲しそうな子猫みたいな目でボクを見つめる彼女。


「だって……振られるから」

「?なに言うて……」

「だって、彼女いるんでしょ……?」


なに言うてるの、この子は。


「その……マグカップ」


そう言って、まだ一口も飲まれていないジュースが入ったマグカップを指差す。


「女物じゃん……。

いつもは、誰が使ってるの……?」


……アカン。


ほんまに可愛え、この子。


 
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