だってキミが可愛すぎて
◇
そっと目を開けると、私は彼の腕の中にいた。
「目ェ覚めたん?」
甘くてちょっと掠れた声が耳から入ってくる。
生身の肌と肌が触れ合う感触に、さっきのことは夢じゃなかったんだって改めて思い知る。
「あの……」
「まだ寝とってええよ。まだ5時やし」
カーテンの隙間からうっすら射し込む朝日。
「……そっちは寝ないの?」
「ほんまにキミは悪い子ォやなァ……。
さっきまであないボクん名前呼んでたくせに……もうボクん名前忘れてしもたん?」
「……スズくん……は寝ないの?」
「なんや、思たより素直なんやね」
くくっと満足そうに笑うと、彼は優しく私を抱き寄せる。
「寝られへんねや。キミの寝顔可愛すぎて、夢中になってもーて」
柔らかく抱き締められているだけなのに、どうしようもなく胸が苦しい。
「ば……ばか!嫌いっ!」
逃げるようにシーツに潜って、赤くなった顔を必死に隠す。
「なんやの、また嘘吐いて。まだお仕置き足りないんねやろか」
「嘘じゃない!ほんとに嫌い!」
「はいまた嘘」
私を追いかけて、シーツに潜り込んでくる彼。