だってキミが可愛すぎて
 
「……寝言でボクん名前呼んどったけど、どない夢みてたん?」

「!」

「……お昼寝しとった時も、『好き』って言うてたけど、誰のことやの?」

「!」


彼の白くて綺麗な手が、そっと私の頬を撫でる。


「言うて?

好きって」


ずるい。


ずるい、ずるい、ずるい。


そんな愛しそうな目で見つめながら、いつもよりもっともっと甘い声でそんな風に求められたら、私の心は完全に傾く。


嫌いだなんて言えなくなる。


吐き気がしそうなほど愛おしさが込み上げて、身体中の全ての細胞が大好きだって叫びをあげて。


「なぁ」


良く熟れた果実からじゅくじゅく溢れる果汁のような、甘ったるい声。


「言うて」


甘過ぎて、頭がくらくらして、こうなったら完全に万事は彼のペース。



< 64 / 66 >

この作品をシェア

pagetop