だってキミが可愛すぎて
 
「へェ……ほんま?」


多分、そこまで驚いてない。


甘ったるい声は、いつもと変わらない口調。


私に男が出来ても、なんともないご様子。


いや、分かってたけど。


私に男がいようがいまいが、この男にはなんら関係のないこと。


そんなこと、分かってたのに……。


「せやから、こないなことされたくらいでは驚かなくなってもーたってわけなん?」


スカートのホックが外れる音がした。


「まあ、そんなとこ」


自分の口を自分で塞ぎたくなった。


慣れてるわけがない、というか、むしろ恥ずかしくて今にも逃げ出したい気分だって言うのに……。


「なんや、ボクが目ェ離しとった間にそない大人になってもうて……」


ジリジリとファスナーが下がる音がする。


「そうだよ。

だからもうこんなことくらいじゃ驚かないの。

だからいい加減離して」


お願い離して。


ツンとつっぱねた態度の下に、恥ずかしくて死んでしまいそうな自分を必死に隠す。


 

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