ROMANCE:winter
Before X'mas

-day 1

両腕で体をさすりながら廊下を歩く
校舎の冷たい色をした壁材とアタシの吐く白い息


「さむすぎ」


片手にはブランドロゴのモノグラムがはいった財布
ってゆってもブランド狂の母親のお古だけど


食堂に向かう子達の多さにげんなりする

本来ならお弁当派なのに、今日は持ってこなかった




誰かが廊下の窓をあけていたらしくて、カサカサと寒そうに鳴る枯葉の音と共に木枯らしがびゅうっと入ってきて、肩先の毛先が舞い上がる




母さんが~

夜なべをして~

手袋編んでくれた~~




そんな歌がふっと脳裏をよぎる


窓に近づくと勢いよく閉める

窓枠は劣化して妙な音を立てて、鍵はさび付いた嫌なひっかき音を残した






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