ROMANCE:winter
またドアを乱暴に閉める直也


機嫌悪いなら、来ないで欲しい

家が壊れる

気分が悪くなる


アタシのため息にも気づかないまま、食卓に座る

いたって普通に接すアタシ


「寒いから、おでん

あったまるよ」


答えは、ない



「おでんって、柚子こしょうで食べてもおいしいんだよ?

からし??

柚子こしょう??」


二本のチューブを直也の前でちらつかせる



機嫌、直して



「からし」



顔をあげた直也とようやく目が合って、直也は小さく答えた


微笑んで「からしね」というと、彼のお皿の隅にからしをのせる


そのアタシの手先をずっと見つめている直也が「あのさ」と口を開いた



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