Luna:聖夜の奇跡
「さむっ!さむっ!」

そういってブーツを脱ぎ捨てるとサッサと部屋の奥にはいっていく女

「ちょちょちょ!!勝手に入るな!」


「おお~~さむっ!」

リビングのこたつのスイッチをいれて、肩まで沈み込むと顔だけをちょこんと出して俺を見上げた


「自分の家じゃないんだから、ちょっとくらい遠慮したら?」

「だって、体が冷え切って……」

「あの…で、なんで俺の部屋の前でずっと?」


いつまでも居座られても困るので、早急に用件を聞き出す作戦

何かのセールスならすぐさま追い出す!!


「人肌のあたたかさのミルクがのみたい」


俺の話なんてまるできいてない風で、飲み物のおもてなしを求める女


「図々しい」

「だって、体の芯からあたためないと」

「だったらアツアツのミルクにしたらどーっすかね」

「だって、猫舌だもん」


はああぁぁ~~


初対面の男相手に、はじめて入る部屋で、このマイペースっぷり

盛大にため息をつくと、マグカップに牛乳を注いだ


電子レンジがオレンジの温かい色を放って、中のトレイがくるくる回っている


人肌のあたたかさねえ……


チン!!!


マグカップを手で握って温度を確かめながら女を見ると、俺のケータイについているまるっこいストラップをグーにした手で転がしながらニヤニヤ笑っていた


何やってんだ………




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