あの頃の夢
「・・・・・・」

「ん? チケット、どうかした?」

「いや・・・・・・
文化祭って何日だっけ?」

「あと10日。あ~、あと10日しかない!」
委員長は
読んでいたマンガを放り出して、
座っていたパイプ椅子の背に
もたれかかってしまった。

どうやら、
手伝う日数が足りないらしい。

なのに、こんなところで
マンガなんて読んでいて良いのだろうか。

ぼくなんかと、
話し込んでいて良いのだろうか。

あと10日。

「足、治るかな」

「無理しちゃダメだよ。もし来れなかったら、
撮ったビデオもあるんだし。
そのとき一緒に見ればいいよ」

「うん」

委員長は放り出したマンガを
もう一度手にとって、
またゆったりと
居心地良さそうにくつろぎ始めた。

形式的な付き合い、
義務としてのお見舞い、
そんなものを越えた態度は、
退屈な入院生活に花を咲かせてくれる。
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