あの頃の夢
文化祭
「おはよー!」

涼しさの混ざる秋晴れの空気に、
委員長の爽やかな声が透き通る。

文化祭の当日、
ぼくは委員長と待ち合わせをしていた。

入院してから今日に至るまで、
なぜかあいつらは、ずっと欠席が続いている。

あんなやつら、消えてしまえばいい、
いつもそう思っていたけれど、
実際にいなくなると、
学校が急に孤独なだけの場所となってしまった。

病室ではあんなにも
親しくなれたはずの委員長とも、
教室では何も話すことができなかった。

でも、今日は違う。
委員長と二人きり、
最高の一日になりそうだ。

「何時からだっけ?」

「もう始まるよ。急がないと!」

委員長はぼくの手を取って、
講堂へと走り出した。

人混みの隙間をくぐり抜けて、
前の景色がキラキラと後ろに流れていく。

二人きりの世界には、ざわめく人々も、
静まり返った風景のように感じられた。

まるで、ぼくたち以外の人間が、
世間から皆いなくなってしまったように。
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