まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


「あなたは前に、一日の家事の段取りを考えていると落ち着くとおっしゃっていましたから、お屋敷のベッドにいるようなつもりで、それをなさってはいかがですか?まだ朝が来るのはもう少し先です。それまでお休みになっていて下さい」


「分かりました、そうさせて貰います」


私がそう答えると、彼女は明かりを消して部屋を出て行った。


廊下に響いていた彼女の靴音はやがて聞こえなくなり、音の余韻も消え、そして辺りはまた、ひっそりと音のない世界に戻った。



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