まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
はてさて、少し頭を整理する必要がある。
夢の中の出来事をぼんやりとしか思い出せないのと同じように、私が思い出せない「何か」がある事だけは理解できた。
それを記憶媒体から引き出すことができないのがひどく不安だったが、今はどうする事もできない。あまり考え込んでも不安が増すばかりだろう。
ぐちゃぐちゃになった頭の整理を後回しにして、私は言われたとおりに家事の段取りを考え始めた。窓の雪に目を遣ると、吸い込まれそうなあの感じがまた襲ってくるので、ベッドの上でも目はぎゅっとつぶったままだ。