まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


大体、お世話をされる立場の人というのは、例外なく「ご主人様」なのだ。人間のお世話をするために作られたのがヒューマノイドなのだから、私の生まれた頃の常識に照らせば、ご主人様というのは当然、人間ということになる。


それがここでは、ヒューマノイドがご主人様で、お世話をするのもヒューマノイド。私が働き始めた頃には考えられなかったことだ。


思い起こしてみると、ヒューマノイドが人間と同じく「人権」を持つようになって、もう二十年近くになるだろうか。



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