まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
うっすら湯気の立つトーストを手で千切りながら、私が席を立つ前にこれが出てきたことについて思考を巡らせた。
たぶん私は、こんなことを毎日繰り返しているのだ。
食事にほとんど口をつけないので、どんなものなら私の口に合うのか職員が試行錯誤を重ねた末、トーストに辿り着いたのだろう。その心意気たるや、まさに執事の心に根差すサービスの精神そのものである。