まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


薪割りなどはふつう、使用人の仕事と相場が決まっているのだが、この屋敷で使われている薪はすべからく、正に一つの漏れもなく坊っちゃんが自ら割ったものである。


私はひとつ、華奢な薪をひとつ手に取って暖炉にくべた。


赤い火の粉が舞い上がり、輝きながら落ちて行くのを眺めながら、私は坊っちゃんの薪割りを思い起こしていた。



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