まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
もともと私は、坊ちゃんの家庭教師としてお屋敷に迎え入れられた。
机に着くのも嫌い、鉛筆を持つのも嫌いという、絵に描いたような勉強嫌いの子供に勉強をさせるよう言いつけられたものだから、最初は本当に頭を抱えてしまっていた。
しかしよくよく坊ちゃんを観察していると、集中力がない訳ではない様だ、という事に気づいた。例えば、植木を剪定している様子を、一時間も二時間もじっと眺めているような時がある。あるいは、調理場で料理の準備をしている時に、そこへ貼り付いて様子を眺めていることもあった。