まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
そう思い立った私が坊ちゃんを連れて行ったのは、お屋敷の裏の薪割り場だった。植木の剪定や調理をして頂く訳にはいかないが、刃物に気をつけさえすれば八歳の坊ちゃんにもできる仕事だ。
試しに小ぶりの鉈を持たせてやり方を教えてやると、それから一時間以上、薪を黙々と割り続けた。
当所、奥様は坊ちゃんの薪割りに反対されていた。しかし、人に役立つことをする体験が、他の事にもきっと良い影響を及ぼすはずであるという私の進言を、旦那様が聞き入れて下さることになった。