まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
薪割りを始めてわずか数ヶ月のうちのことで、誰もがその変わりぶりに目を丸くして驚いていたのだが、そこで終わりではない。
やがて、分からない内容を書物を探して調べるということを覚えてからは、もう大人の手助けなしで勉強をこなすようになっていて、坊ちゃんに何がしか勉強を教えられるものはお屋敷の中に一人もいなくなってしまっていた。
家庭教師であったはずの私はすっかり手持無沙汰になり、以来、代わりの仕事として執事の役目を仰せつかったのである。
* * *