まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


次に気が付いたとき、私はひどく息苦しい場所にいた。


先ほどの白い壁の部屋からどうにか脱出するには至ったが、残念ながらあの部屋と同じくらい重苦しい空気に満ち満ちている場所へやって来てしまったようだ。


ビニール製の長椅子に腰をかけ、掌を合わせて指を組み、それを自分の額に当てている。視線は足元のビニールタイルをぼんやりと見つめ、そこへおおきなため息を吐き落とした。





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