まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~
医師は、極めて冷静な口調で、淡々と話を続けている。
「もう少しすると、あなたが誰なのかも分からなくなってしまいます。次へ移られて、そこの環境がお母さんによく馴染めば、多少進行が遅くなることもあるでしょうが、劇的な改善は見込めません。お心の準備は、十分にしておいてください」
私は黙ったまま、それを聞いている。看護師がそばに来て、言葉をつづけた。