まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


「あんた、誰ぃな。わしゃ家に帰る途中やでなぁ」


普通に喋っていた老婆の声は、その直後に突然、金切り声に変わった。


「やめてぇ!誰か!この人、私をさらおうとしとる!け、け、警察呼んでぇ!」


周りの老人たちが、驚いたようにその様子を見ている。老婆の悲痛な叫びは、私の心をキリキリと締め上げ、爪を立てて掻きむしった。




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