まどろみの淵にて～執事ﾋｭｰﾏﾉｲﾄﾞの失われた記憶～

私は意識を取り戻しかかっていたのだが、それを無理やりに抑えた。


今は少なくとも、意識の戻っていることを悟られたくない。「どうしたんですか？」などと聞かれれば、嫌が応にも夢の話を再び思い出さなくてはなるまい。しかして、それを口外することは決して許されない。こんなひどい話があろうか。


そこで私は、全く他のことを思い浮かべることにした。