まどろみの淵にて~執事ヒューマノイドの失われた記憶~


私の内臓マイクは様々な音声をとりあえず集音するものの、そのデータはどこかへ抜けていくばかりである。


なぜなら、今やザリガニとなった私には言語中枢というものが存在しないからだ。


池に降り続く雨の音を、棲処の奥まったところで聞くともなしに聞いている……それとちょうど同じような具合で、周囲に漏れ聞こえる人の声が頭の中に響いていた。



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