モテ彼×ブキヨウ彼女
――でも……
凪ちゃんの言うことも一理あるのかも知れない。
今日、神崎君に会えなくなって寂しかった分、次に会う時はいつもの倍は嬉しいんだろうな……。
すっかり乙女ちっくモードに突入したあたしを、凪ちゃんが一気に引き戻す。
「……ってことで、
今日は円香のおごりね」
「はぁ!?
意味分かんないからっ!」
テーブルをバンッと叩き、立ち上がったあたし。
「あはは。嘘だって〜」
凪ちゃんは相変わらずクリームのお化粧をしたまま、ムキになるあたしを見て面白そうに笑っていた。
だけど、そんな楽しい時間はあっという間に終わりを告げた。
「もぉ、凪ちゃんはそうやっていつもあたしのことからかうんだからぁ」
あたしが不満を口にしながら再び椅子に腰を下ろした時、ふと窓の外を見た凪ちゃんが声を上げた。
「あれ!?
あそこにいるのって神崎君じゃない?」
「え?」
そう言ってあたしが凪ちゃんの視線の先を捉えた瞬間……