モテ彼×ブキヨウ彼女
「へへへ変じゃないよっ!
いや……変だとしてもそれは元からだし……ね?」
あたしは胸の前で両手を振りながら、神崎君を見上げる。
だけど神崎君はまだ疑っているようだった。
……当然だよね。
あたし……嘘つくの苦手なんだもん。
家族にもよく言われるんだ。
『アンタはすぐに顔に出る』って……。
だいたい自分が‘元から変だ’なんて……何?そのカミングアウト。
しかも‘ね?’って……
同意を求めてるし。
あたしは、短時間で自分にたくさんのツッコミを入れた後で、神崎君をチラッと見た。
案の定、何かを言いたそうな表情であたしを見ている……。
「あのさ、円香……
こん……」
そう言って、神崎君が口を開きかけた時……
――ブーブーブー……
神崎君の制服のポケットでケータイの震える音が聞こえた。