モテ彼×ブキヨウ彼女
その2 失敗だらけの初デート(ToT)
「あの神崎君と…
付き合うことになったぁ!?」
「ちょっ…
声大きいよ、凪ちゃん!
しーっ!」
―――場所が変わって、ここは教室。
今、ものすごい大声をあげたのは、
小学校からの大親友の浅岡凪ちゃん。
見た目は大人しそうなのに、実はかなりの暴走少女で、一度興奮するとなかなか治まらない。
でも、いつもあたしの味方をしてくれる、心強い存在なんだ。
そんな凪ちゃんの声に、クラス中がざわついたのを見て、あたしは慌てて凪ちゃんの口を押さえた。
神崎君の名前に振り返った大勢の女の子たちに、愛想笑いを浮かべて誤魔化しながら。
「もう!凪ちゃん興奮しすぎだよ!」
声を潜めながら、あたしが言うと、凪ちゃんはバツの悪そうな表情を浮かべた。
「…ごめん。
でも、今のはあたしじゃなくても叫ぶって!
だって、もう一度聞くけど、あの神崎君でしょ?」
あたしは、背中を丸めながらコクリと頷いた。